日本の平和と安全を守る存在の自衛隊。
日本に限らず、海外でも災害時の支援などで派遣される事も多く、特に近年は自然災害などのニュースでもその活躍を耳にされている方も多いかと思います。
軍隊ではありませんが、米軍やその他各国の軍隊同様に戦場などの前線の隊員用の食事、いわゆる「レーション」が自衛隊にも存在します。
なかなか普段生活をしているうえで自衛隊員が現場でどのような食事を摂っているのかは見聞きする機会が少ないですが、果たしてどのようなものになっているのでしょうか?
今回は自衛隊のレーション「戦闘糧食」について解説させていただきます!
目次
戦闘糧食(レーション)とは?
レーション、戦闘糧食、糧食、野戦食など色々な呼び方がありますが、全て共通なのは戦場や災害などの現場で各隊の隊員が摂るための食事の事。
一番の特徴は特別な調理などを必要とせず、且つ、過酷な輸送などにも耐えられる仕様になっていているため、通常の民間用の非常食よりも外装が頑丈である事、温度管理されていない環境でも一定の品質を保てることにあります。
当サイトで多くレビューしているアメリカ軍の「MRE」においては水さえあれば専用のヒーターで食事を温められ、どこでも温かい食事が摂れるようになっています。
他には湯煎で温める場合もありますし、国によっては固形燃料と一緒に小型の簡易ストーブも付属していて、火を点けて直接缶詰を温めるようなものも。
共通しているのは戦場などの過酷な現場で、唯一ともいえる癒しである食事で隊員の士気を高められるようになっています。
特定の現場、例えば寒冷地などにおいてはお湯を加えるだけで食事が出来上がるフリーズドライ食品が中心なものや、海上で遭難した時に最低限摂取したい栄養とカロリーが詰まっている「デイトレックス」にような固形型ものなど、バリエーションは本当にさまざまです。
また、隊員の食事だけに限らず、災害時などでは被災した民間人にも配布される事があります。
自衛隊の戦闘糧食の特徴
自衛隊のレーションである「戦闘糧食」はⅠ型とⅡ型の二種類に分類されていて、どちらも共通の特徴であるのは主食であるご飯や赤飯と、おかずのセットになっている事。
直接エネルギー源になるご飯の量は多めで、Ⅰ型であれば1缶あたり2合程度、Ⅱ型はパック型のご飯が2つ入っていて、少ないおかずに対してご飯を多く摂取できるように味付けが濃いめになっています。
また、ご飯に関してももち米の比率が高くなっていて腹持ちが良くなるよう工夫されているもの特徴です。
自衛隊戦闘糧食の外観
まず見た目の特徴としてその色が挙げられます。
戦闘糧食はOD色(オリーブドラブ)という暗い緑色で統一されています。
これは察しのとおり迷彩色であり、空き缶やレトルトパウチが戦場でも目立たないようになっている事に加え、捨てた後も見つかりにくくすることで部隊の規模を敵に知られないようにするためであります。
ちなみに、米軍のMREは砂のような薄茶色で統一されています。
ひと昔前は濃い茶色でしたが、主戦場が砂漠地帯に変わった事でその環境に合わせた迷彩色に変わっています。
戦闘糧食Ⅰ型について
自衛隊が設立された1954年からある缶詰タイプの戦闘糧食がⅠ型です。
厳密にいうとこの後説明する「戦闘糧食Ⅱ型」が誕生したことにより「Ⅰ型」と呼ばれるようになったもので、正式名称ではありません。
通称「カンメシ」とも呼ばれています。
軽量で持ち運びも楽で調理も簡単なレトルトタイプのⅡ型が誕生された今でも残っているのは、その頑丈さと保存性のためです。
レトルトパウチだと航空機からパラシュート投下された後の着地の衝撃に耐えられない事もあり、現在も航空自衛隊、海上自衛隊で採用されています。※陸上自衛隊は2016年納入分を最後に終了
同様の理由で缶詰はプルトップ型ではなく、缶切りで開ける仕様になっています。
戦闘糧食Ⅱ型について
戦闘糧食Ⅰ型に替わり1990年に登場したのがレトルトタイプのⅡ型です。
通称「パックメシ」とも呼ばれています。
Ⅰ型と比べて軽量で持ち運びがしやすくなった他に、メニューもカレーや中華丼、野菜麻婆などとバリエーションが増えています。
主食のご飯も民間でお馴染みのパック型になり、温めやすくなっています。
温めるためには戦闘糧食Ⅰ型同様に湯煎の他、MREのように専用の加熱パックを使う事もあります。
自衛隊戦闘糧食のメニュー
Ⅰ型Ⅱ型とも共通なのは主食としてご飯や五目飯、赤飯などが約2合分ある事。
ご飯に合うように和食中心にカレーや野菜麻婆、中華風カルビ、さば味噌煮など、色々揃ってます。
Ⅰ型であればおかずの他に「たくあん漬け」もあり、隊員に人気です。
米軍のMREや他国のレーションだとメインからデザートまで一通り揃っているものが多いですが、戦闘糧食はあくまで主食とおかずに絞られているのが特徴です。
賞味期限は?
缶詰である戦闘糧食Ⅰ型は3年、レトルトタイプのⅡ型は製造から1年が賞味期限となっています。
また、通常のⅡ型とは別にトレイを同封して主食とおかずを盛り付けるタイプのものもあり、ご飯パックの封がビニール素材からアルミ素材されていていることもあり、賞味期限は3年です。
ちなみに、レトルトタイプのⅡ型は1年ではあるものの、実際は中身毎に賞味期限が設定されており、レトルトパウチに入ってるおかずなどは3年程度に設定、近年はご飯パックもトレイ同封タイプと同じアルミ素材のものが採用されてるので、実際はの同様の年月は持つ形になってます。
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戦闘糧食はどこが製造してるの?
自衛隊の戦闘糧食は日本を代表する企業をはじめ、さまざまな会社が製造・納品しており、上記写真だと日本ハム、他には株式会社武蔵富装、株式会社たかの等が挙げられます。
世界の戦闘糧食の中でも一番美味しい?
各国の軍隊毎に用意されている戦闘糧食(レーション)ですが、実は自衛隊の戦闘糧食は1992年のカンボジアPKO(国際連合平和維持活動)の際に開かれた戦闘糧食コンテストで1位を獲得した実績があるくらい味です。
1位の獲得は随分昔の話にはなりますが、日本人の口に合う事は確かですよ!
他国のレーションと比較
各国の軍隊毎に用意されている戦闘糧食(レーション)ですが、国によって違いは色々あります。
特にメニュー内容はその国毎に違い、米軍MREであれば伝統的なアメリカ料理からイタリアン、メキシカンなどさまざまですし、ベジタリアン用のメニューもあります。
自衛隊の戦闘糧食との一番の違いとしては、メイン~デザート、飲み物まで全て揃っている各国に対して、主食とおかずと限られてる点です。
また、日本人の主食であるご飯に特化しているという点も特徴の一つです。
自衛隊の戦闘糧食はどこで入手できるの?
自衛隊の戦闘糧食は官給品のため、基本的には入手する事はできません。
米軍のMREは建前上転売禁止とされてますが、明確な取り締まる法律が無いため、eBayをはじめ日本国内でも購入できる手段が色々あるのが現状です。
ただ、日本は色々厳しいので、販売した側などが処罰される可能性が大きいです。
MREの詳細についてはこちらから!
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ほぼ同等品は買える
ここまで読んでいただいた方であれば自衛隊の戦闘糧食を一度食べてみたい方が多いと思いますが、朗報です!
実は戦闘糧食を製造してる会社がパッケージだけを変えた同等品を民間用に販売しています。
当記事で紹介させていただいた戦闘糧食以外にも、保存水や専用のヒータなどもセットになってますにで、気になっていた方は是非一度試してみてください。
当サイトでレビューしている戦闘糧食
当サイトでレビューしている戦闘糧食の一覧です!気になるものがあればぜひご覧ください。
※リストは随時更新します
戦闘糧食Ⅰ型
戦闘糧食Ⅱ型(非常用糧食含む)
まとめ
以上、自自衛隊の戦闘糧食について解説させていただきました!
米軍のMREなどと比べるとなかな入手がしづらいものの、パッケージが違う同等品は購入が可能です。
僕自身、米軍MRE以外は勉強中の身なので、もしこの記事をみて「ここは違うぞ!」という内容があれば是非コメント欄で教えていただけると幸いです!
同等品であれば専用のヒーターも付属してるので、非常食として備蓄しておくのもオススメですよ!
Amazonや楽天市場などで購入できるので一度試してみてはいかがでしょうか?自衛隊グッズ ミリメシ 戦闘糧食 防災あつあつロングライフセット 3個セット