米軍のレーションといえば「MRE」が一般的ですが、実はMRE以外にもさまざまな状況や環境に合わせたものも存在します。
代表的なものが加熱等の調理などが一切不要な、戦場の最前線の兵士用の「FSR(First strike ration)」や寒冷地用の「MCW(Meal Cold Weather)」、人道支援用の「HDR(Humanitarian Daily Ration)」など。
※HDRは兵士用ではなく、難民等一般市民向けのレーションです
今回はそんな米軍のレーションのうち、寒冷地用のMCW(Meal Cold Weather)について詳しく解説させていただきます!
MREとどのような違いがあるのでしょうか?
目次
MCW(Meal Cold Weather)の特徴
MCWは「Meal Cold Weather」の略で、直訳すると「寒い気候用の食事」。寒冷地で活動する兵士用のレーションとなっています。
山岳地帯等は通常の環境とは異なる寒さになりますので、食事もそれに合わせたものが必要。
MREとは異なった工夫がいくつも施されています。
MREの特徴などについては下記記事で解説してます!
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迷彩色について
近年の戦場の中心が中東の砂漠地帯がという事もあり、MREは薄茶色の迷彩色で統一されているのに対し、MCWは白色となっています。
寒冷地は基本的に雪が積もった環境であることが多いので、それに合わせた迷彩色ですね。
ただ、中身についてはそれに限らず、MREと同じものなどが採用されているので、クラッカーやパン、飲み物などはMREで見慣れた薄茶色の包装のものが入っています。
MCW(Meal Cold Weather)の中身
MCWの中身はメイン料理に加え、おやつやデザート、飲み物に調味料などが入ったアクセサリーパケットにスプーンと、MREと同様に1食分揃っていますが、一番の特徴はメイン料理がフリーズドライ製品であるところ。
これは寒冷地でも凍ってしまわないための対策で、他の中身についても凍りづらいものに限定されてます。
メインのフリーズドライ商品に関してはアメリカのフリーズドライ食品を代表する「Mountain House」のものが採用。
また、寒冷地での脱水症状を避けるため、飲み物も通常のMREよりも多く入っているのも特徴です。
Mountain House(マウンテンハウス)とは?
前述したように、アメリカでフリーズドライ食品といえばMountain Houseというほど代表的で、キャンプや登山用品としてはもちろん、賞味期限が20~30年と非常に長いため、非常食としてもとても高い人気を誇っています。
Mountain Houseのフリーズドライ食品は元々アメリカ軍がベトナム戦争時に、当時主流だったKレーションやCレーションよりも美味しくて長持ちする食品を要求したことにより開発されたのが始まり(Mountain Houseの親会社Oregon Freeze Dryが開発しコンペで勝利)。
アメリカ軍向けに長い間提供していましたが、戦争が落ち着くにつれて民間のアウトドア製品のマーケットに進出した事により「Mountain House」のブランドが誕生しました。
※参考:Mountain House公式サイト
日本ではMountain Houseの正規代理店が存在しないので残念ながら購入はできませんが(売ってたとしても並行輸入品なので高いです)、同社のフリーズドライ技術を使った「サバイバルフーズ」であれば購入が可能です。
Mountain House同様に30年近い賞味期限なので、非常食として備蓄してみてはいかがでしょうか?
そのうちサバイバルフーズも当サイトでレビュー出来ればと思います。
同じくMountain Houseのフリーズドライ製品を利用してるレーション
Mountain House製のフリーズドライ食品はMCWだけでなく、通常のMREであればメニューNo.20に「グラノーラ」が同梱されています。
また、長距離長時間の移動を伴う作戦の兵士向けの米軍レーション「LRP(Long Range Patrol)」にも採用されています。
MCW(Meal Cold Weather)の重量について
MCW1包の大きさはMREとほぼ同じなものの、メインがフリーズドライである事から重量は軽く、大体500g前後となっています。
前述したLRPと同様、重い荷物を運ぶ事によるカロリー消費を少なく出来る事も特徴です。
MCW(Meal Cold Weather)のカロリーについて
寒冷地などの寒い気候下ではが通常よりもカロリー消費が高くなります。
そのため、MRE1包が大体1,200kcal前後に対し、MCWは1,500kcal前後と通常のMREよりもカロリーが高くなっています。
一番の違いはメイン料理で、MREの場合280~300kcal程度、MCWはメイン一つだけで600kcal程度あります。
余談ですが、ロシア軍の24時間用レーションは一つで4,000kcal以上あります。これもロシアが寒い地域の国だからでしょうか?
MCW(Meal Cold Weather)のメニューは?
MCWのメニューは以下の全12種類で構成されていて、MREと同様に1ケースで12個入っています。
- Spicy Oriental Chicken with Rice
- Beef Stroganoff with Noodles
- Chili Macaroni With Beef
- Turkey Tetrazzini
- Chicken & Rice
- Lasagna with Meat & Sauce
- Beef Stew
- Spaghetti with Meat Sauce
- Rice and Chicken, Mexican Style
- SCRAMBLED EGGS WITH CHEESE, WESTERN STYLE
- Scrambled Eggs with Bacon
- Western Omelet
MCW(Meal Cold Weather)の食べ方は?
MREは常温でそのまま食べる事も可能ですが、専用のヒーター「FRH」でメイン料理を温めて食べます。
反面、MCWのメイン料理はフリーズドライなのでそのままでは食べられません。
とはいえ、準備はとても簡単で水もしくはお湯を混ぜて10分程度待つだけ。
アウトドア用の食事としても人気の理由が分かります。
MCW(Meal Cold Weather)の賞味期限は?
MCWは26℃の環境下で3年間持つとされています。
ただ、あくまでも常時26℃の環境にずっと置かれた場合に品質を保証出来る期間なので、実際はMRE同様に5年~10年、フリーズドライである事も考慮するとそれ以上経っても余裕で食べられるかと思います。
完全自己責任になりますが、製造からそれなりに経っていても食べて大丈夫なはずです。
MCW(Meal Cold Weather)の製造会社は?
MCWのメインはMountain House社製ですが、最終的に梱包&納入している会社はMREと同様に「アメリカル社」「SOPAKCO社」「ワーニック社」の3社。
MCW以外のFSRなどのレーションについても同様にこれら3社が納入している形となっています。
まとめ
以上、米軍レーション「MCW(Meal Cold Weather)」について解説させていただきました!
MREと比べるとレアなので手に入れづらいですが、当サイトでは出来る限りレビューしていきたいと思います。
MRE同様にに備蓄用にいかが?とはなかなかオススメできないものの、Mountain Houseと同じフリーズドライ技術を使用した「サバイバルフーズ」は他の非常食と比べて圧倒的に賞味期限も長く、備蓄にオススメです。
是非一度試してみてはいかがでしょうか?