かつてナポレオンが戦場の兵士に安全で栄養がしっかり補給できる、保存性の高い食料を提供するためのアイディアを募った事で発明された缶詰。
1804年に発明され、200年以上経った現在でも食料の長期保存としては代表的な方法で、元々の目的であるレーションとしても利用。
自衛隊の戦闘糧食についてはレトルトパウチタイプのⅡ型が現在は主流であるものの、保存性や耐久性の高さから現在でも一部で採用され続けています。
今回はそんな戦闘糧食Ⅰ型の中から「五目飯」と「ます野菜煮」の実食レビューをお届けしたいと思います!
目次
自衛隊戦闘糧食Ⅰ型「五目飯」について
製造所固有記号を調べたところ、五目飯は株式会社サンヨー堂が製造したものとなっていました。
今回いただくものは賞味期限が2017年3月、通常戦闘糧食Ⅰ型の賞味期限は製造から3年なので、製造されたのは2014年と思われます。
賞味期限から7年が過ぎようとしているタイミングですが、缶詰は缶にダメージさえなければ期限後も10年以上は余裕で食べる事が出来るため、今回も特に問題は無いでしょう。
1缶350g入りで原材料は精米、にんじん、ごぼう、油揚げ、たけのこ、醤油、乾しいたけ、サラダ油、砂糖、食塩、調味料等となっています。
カロリー等の栄養表示はありませんが、サンヨー堂が一般向けに販売している185g入り五目飯の缶詰は316kcalなので、約597kcalと推定されます。
その他戦闘糧食Ⅰ型はもちろん、Ⅱ型も含めた基本的な情報については下記記事でまとめてるので、ぜひこちらも参考にしてみてください!
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自衛隊の戦闘糧食について徹底解説!Ⅰ型とⅡ型の違いは?
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自衛隊戦闘糧食Ⅰ型「ます野菜煮」について
ます野菜煮は製造所固有記号を調べたところ、ホテイフーズ製造のものと判断できました。
今回いただくのは五目飯よりも古い賞味期限が2013年のもの、2010年製造のものとなっています。
こちらも賞味期限を大幅に過ぎていますが、缶の状態はかなり良いので、中身は特に問題ないでしょう。
原材料はます、たけのこ、にんじん、昆布、醤油、砂糖、食塩、調味料。
100g入りですが、一般向けに販売されている類似の商品が恐らく無く、カロリー量は謎です。
ただ、ご飯類と一緒に食べるという事を踏まえると、少なく見積もっても100~150kcal程度はあるのではと想定されます。
戦闘糧食Ⅰ型「五目飯」と「ます野菜煮」の準備
戦闘糧食Ⅰ型についてはそのままだとお米がβ(ベータ)化の状態なので食べる事が出来ず、基本的に湯煎して食べる形となっており、約25分以上湯煎すれば3日間は食べられます(ただし気温によります)。
ます野菜煮については特に食べ方についての記載が無いので常温でも食べられる仕様だと思われますが、温めた方が美味しいはずなので一緒に湯煎していきます。
とは言え缶の大きさを考えると同じ時間だと温めすぎる形になってしまうので、先に五目飯をお湯を沸騰させた鍋に入れます。
15分ほど経ったタイミングでます野菜煮も鍋に投入しました。
もう10~15分ほど湯煎すれば完了です。
戦闘糧食Ⅰ型「五目飯」と「ます野菜煮」の実食レビュー
25分ほど経ったので鍋から取り出して布巾で水気を取りました。
耐久性を踏まえた非プルトップ型のため、今では使う機会も少なくなった缶切りでそれぞれ開けていきます。
ちなみに、実際に配給される戦闘糧食Ⅰ型には缶詰一定数につき以下のような携帯缶切りが付いてきますが、とても使いづらそうなのと、これはこれでいざという時のサバイバル用品として持っておきたいので、使わずでいきます(笑)
直に缶を触るとまだまだ暑いので、布巾で押さえながら開けていきます。
そして、中身はこのようになっていました!
五目飯は缶目一杯にずっしり入っていて、ます野菜煮はお弁当のように綺麗に各食材が詰まってますね。
第一印象を大事にしたかったので事前にあまり調べずにここまで来ましたが、もっとごった煮のようなものなのかと思ってました。
五目飯の味は?
五目飯はゴボウをはじめとした香ばしい香りでとても美味しそうですね!
25分湯煎しましたが、真ん中あたりがまだ若干固い状態でした。
とはいえ、もう湯煎する事は出来ず、電子レンジで温めるのは邪道な気がするので(笑)このままいただきます!
全体的にはほんのり醤油の味付けが広がる、とても優しい味付けとなっていますね。
完全に柔らかくなるまで温めていたらさらに美味しく感じられそうです。
椎茸の香りもまた良いですね。とても上品で和風な味わいです。
そこにシャキっとしたタケノコと弾力のある油揚げが食感の幅も広げています。
細かく刻まれた人参には甘味が詰まっていてとても良いアクセントです。
とても美味しくてこのまま単体でも食べられますが、少し物足りなさも否めないので、おかずであるます野菜煮も一緒に食べてみましょう!
ます野菜煮の味は?
ここまで綺麗に詰められているとどこから食べて良いか迷いますね。
賞味期限を大幅に過ぎているので昆布は型崩れしてしまってると思いましたが、柔らかいながらしっかりと弾力も残っています。
そして何よりもマスと一緒に煮込まれた事で魚の旨味がびっくりするレベルで詰まっててとても美味しいです!
次にタケノコ、人参という順番でいただいてみましたが、これらにもマスからにじみ出た旨味がかなり詰まってます。
ただ、昆布は良かったんですが、徐々にこの旨味が臭みのようにも感じてきました。
実はこのます野菜煮、実際に食べる自衛隊員からは賛否両論のあるメニューのようで、少し納得できました。
「魚臭さ」「泥臭さ」という言葉がそのまま当てはまり、クセのある川魚の香りが全体を占めています。
マスのお肉自体はとても柔らかくて食べやすいですよ。
以前にレビューをさせていただいた「牛肉野菜煮」と比べると味付けが濃すぎるような事も無いのでその点は食べやすいものの、クセがかなり強いので確実に好き嫌いが分かれる味に仕上がっています。
個人的にクセの強い食べ物は好きな方ですが、それでもちょっと苦手かもと感じてしまいました。
五目飯と混ぜて食べた味は?
五目飯とます野菜煮を一緒に食べればクセが少し和らぐのではと思いましたが、あまり変わりません(笑)
繊細な香りの五目飯はすぐさまマスのクセで消え去ってしまいました。
現在主流の戦闘糧食Ⅱ型(非常用糧食)は美味しいとかなり評判ですが、たまに聞く「不味い」という評判はます野菜煮のようなところからきているのかもしれませんね。
最後は大きい五目飯の缶に小さいます野菜煮の缶を入れ、ゴミをコンパクトに抑えて捨てます。
その他戦闘糧食Ⅰ型「五目飯」と「ます野菜煮」の写真集
最後に、レビューの中に収めきれなかった写真をまとめて載せておきます!
まとめ
以上、今回は戦闘糧食Ⅰ型の「五目飯」と「ます野菜煮」の実食レビューでした!
現在では製造も少なくなったいわゆる「カンメシ」と呼ばれる戦闘糧食Ⅰ型ですが、缶詰を温めて直接そのまま食べるというのは独特の雰囲気がある、ある種の特別感(??)が楽しめるのが良いですね(笑)
五目飯はなんら問題無かったものの、ます野菜煮については正直なところ、好んでまた食べたいかと聞かれれば答えは「NO」かもしれません。
とはいえ、とても貴重な体験が出来て良かったです!
あと2缶ほど残っているので、これらをどのタイミングで食べるべきかとても迷うところでございます。
本物の戦闘糧食はなかなか入手がしづらいものの、同じ製造会社であるサンヨー堂が販売している「弁当缶シリーズ」であればほぼ同じ味が楽しめるうえ、非常時用の備蓄食料としても重宝するので、気になる方は是非一度試してみてはいかがでしょうか?